Gazelle
2021年04月25日更新 4109 Views

LightSail, さくらVPS, ConoHa VPS, Indigoどれが高速か?

Webサイトの表示速度がSEOに影響を及ぼすことは良く知られた事実であるが、(Speed is now a landing page factor for Google Search and Adsなど参照)VPSの変更により及ぼす影響はあるのか?について厳密にデータを取得して検証した人は見つからなかった。

私の予想としては、WebサーバがHTMLファイルや画像を取得して返す作業は非常に軽い作業なのでどのサーバを使っても大して変わらない、であるが、サーバ会社は全SSDの高速ストレージ搭載だとか、最新IntelCPU搭載だとか、高速性をアピールしている。

果たしてこれらの効果は如何に?ということで同じWebサイトを各VPSサービスで構築してPageSpeed Insightsをそれぞれ40回ずつ回してデータを検証する。

どのVPSが良いかという総合的な理論は【実体験】さくらVPSが最も使い勝手が良かった件で議論しているので参考にして欲しい。

各VPSサーバスペック

考察を得られやすくするため条件を下記のように散らせてみた。

LightSailさくらVPSConoHa VPSIndigo
CPU1 Core2 Core2 Core4 Core
Memory512MB1GB1GB4GB
StorageSSD(20GB)HDD(100GB)SSD(100GB)SSD(80GB)
回線400Mbps程度100MBps100Mbps500Mbps
OSCentOS7CentOS6CentOS8CentOS 8
料金$3.5(約400円)/月940円/月800円/月1399円/月

Webサイトの速度に影響がありそうなのは強いて言うならばCPUと回線。サーバが複数コアを効率よく使いネットワークアクセスを捌くことが期待され、回線のバックボーンが太いほど高速にデータを相手方のパソコンに送り込めるからである。

ただし、せいぜい1ページ300KB程度のWebサイトにそこまで太い回線は必要でなく、CPUも所詮はテキストをストレージから読み込み返すだけという軽い作業をしているため、こちらも必要性は薄いと思われる。

むしろネットワークの応答が実は速くて安定しているなどスペック表には無い何かが要因なるのではないか?という予想は立つ

実験サイト

パソコン選び方・購入ガイドという、パソコンのスペック診断サイトを私が運営しているのだが、これを各VPSに同様の開発環境を作成してローカルで起動する。サイトを公開する前にファイルの圧縮やApacheの高速化設定などを行っているが、ここでは公開前の高速化設定を行っていないバージョンを起動する。

圧縮後はファイルサイズが他サイトと比べて小さすぎて一般化できないと考えたからである。

実験サイトのファイルサイズ合計は400KBほど、25ファイル程度をページ起動時に読み込む。ごく標準的なサイトであると言えるだろう。

実験結果

さて、PageSpeed Insightで各VPSで10回ずつ1時間ごとにテストを行った。時間によりネットワークが偶然不安定だったみたいな誤差により判断を見誤らないためである。それぞれの結果を示す。指標としてはFCP(First Contentful Paint)とインタラクティブになるまでの時間(Time to Interactive, TTI)、総合点を示す。

FCPはリクエストがあってから最初に画面が何かしら描画されるまでの時間であり、サーバの初期応答の速さが物を言う。

また、TTIはユーザ操作が可能になるまでの時間で、複数のネットワークアクセスが終わった最後にユーザ操作が可能となる。ユーザビリティ評価では非常に重要な尺度である。

最後にGoogle先生の示す総合点(Score)を示した。この値が高いほどSEOでは優遇されると言ってよいだろう。

では10回1セットとして速度計測を行った結果を示す。

1セット目

LightSailさくらVPSConoHa VPSIndigo
FCP(s)1.721.751.71.71
TTI(s)4.264.454.44.25
Score63.760.661.762.5

大してどこも差は無いがAWS LightSailが勝利

2セット目

LightSailさくらVPSConoHa VPSIndigo
FCP(s)1.751.791.781.71
TTI(s)4.314.454.424.41
Score62.360.661.260.5

LightSail 2連覇

3セット目

LightSailさくらVPSConoHa VPSIndigo
FCP(s)1.771.711.721.75
TTI(s)4.384.324.44.28
Score61.164.46262

さくらVPS躍進

4セット目

LightSailさくらVPSConoHa VPSIndigo
FCP(s)1.721.761.731.8
TTI(s)4.344.324.24.47
Score61.961.665.259.6

ConoHa大勝利

総合

LightSailさくらVPSConoHa VPSIndigo
FCP(s)1.741.751.731.74
TTI(s)4.324.394.354.35
Score62.361.862.561.1

ConoHaがLightSailに僅差で勝利
ただ、CPUやメモリ等、回線速度等に差をつけたものの、VPSサービス間に有意な差は見られなかった

当然Indigoは4コア積んでいるのでBuild処理が他のサーバに比べて高速など、分かりやすい差異は確認できたが、Webサイトの配信に関しては有意ではなかった。

総評:どのVPSサービスを使うのが良いか?

低スペックなプランでもWebサイトの高速化に何ら悪影響が出ないことがこの実験から分かったと思われる。また、SSDだから、CPUが良いから高速という文句も間違えではないが、一般的なWebサイトのレスポンスに重要な影響を与えるものでは無いのである。

よってサービスを提供する会社は何であれ、まずは最低スペックのものから使いはじめることをお勧めする。大抵はCPUパワーを持て余して使いこなせなくなることは明白である。

その上でlightSail,さくらVPS,Conoha VPS,Indigoそれぞれの特徴を述べていく

AWS lightSail

AmazonのVPSサービスである。使った所感としてはSSHの接続が安定しており、またWeb上でSSH接続ができるため、出先でちょっとしたトラブルが起きた時でも難なく対処できる。

プランとしてはSSDの容量がやや少ないのが欠点であるが、CPUの使用率などサーバの状態が管理画面上で可視化していて使いやすい。

一方でSELinuxが初期化状態でOnになっているなど多少他のVPSと初期設定が異なっているところもあり、Linuxの扱いになれていないと多少調べることになる。

さくらVPS

使い勝手の良いVPSサービス、値段はそこまで安くないが標準的なVPSでかつ運用歴も長く動作が安定している印象は受ける。ドキュメントも充実しているので初心者にはとっつきやすいのではないか?

サーバの運用場所を大阪、東京、石狩から選ぶことができ、それにより値段が変わってくる。地盤が弱い東京にあっても良いことは無い気がするので迷わず一番安い石狩で良いだろう。

東京に住む人が多いため、通信のターンアラウンドタイムが長く、遅延が起こるのではないか?と危惧する人もいるが、光速の回線で大して距離も大して差はないため正直どこでも構わない。

Lineの電話が相手が遠いから繋がりにくいと思う人がいないのと同じである。

ConoHa VPS

値段がそれなりに安く、特にSSD100GBを搭載するのであれば価格が安くなる

100GBもデータを使うことはブログをやっていてもそうは無いが、動画や画像を多くサーバに置きたい場合には良い選択肢となるだろう。

SSHの接続自体は非常に安定しているが、管理画面が非常に重くて操作が行いづらいのが難点。もっとも基本SSH接続で操作するので、管理画面を使う機会など最初の契約時と解約時ぐらいで大したデメリットではないのだが。

最初から大容量を扱うことが見えている場合には良い選択肢になるのではないか?

Indigo

コストが断トツに安い。ただ、SSH接続でサーバに入った後の操作がぎこちない。Vimの操作で右に20ぐらい進むとカクっとなって操作が一瞬止まる。そしてまた20ぐらい進むとまた一瞬とまる。と割とストレスが掛かる。

それ以外は特に問題はないが、SSH接続で主に操作をする人にとってはやりにくいはずである。

一方でサーバはローカルで開発したものを置くだけで、大してサーバ操作は行わない、というのならば最良の選択肢となるだろう。料金は日毎でいつ辞めても良いので一度試して許容範囲内か試してみることをお勧めする。

結論

妥当に行くならlightSail初心者ならさくらVPS大容量SSDならConoHaサーバ操作はほどほどで価格を求めるならIndigoという感じである。私は最初さくらVPSを使っていて、慣れてきたので今回の検討を行い結局lightSailに乗り換えました。終わり。

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