【実体験】さくらVPSが最も使い勝手が良かった件
VPSは様々な会社がサービスを提供しており、何が良いのか全く分からない。ネット上で評判が良いのはConoHa VPSだったりするが、これは単に宣伝広告報酬が最も高いだけであり、実際に使ってみたの感想かどうかは分からない。
一方でAWS LightSailは広告宣伝を行っていないために薦める人が皆無である。エンジニア界隈で使っている人はちらほらいるが、その実力値は未知数なところがある。
また、CPUの高速性がどの程度Webのパフォーマンスに寄与しているのか?帯域が広いことが通常のWebサイトに意味のある数値となって出てくるのか?など自分が求めているものに宣伝広告がマッチしているのかという疑問もある。
まあそんなわけで実際に個人開発に適している1000円程度のプランを3か月間ぐらい試してみて、使いやすいレンタルサーバーを試してみた。ちなみに個人の要件としては以下である。優先度の高い順に記述する。
- 個人で運営している月間15万PVのWebサイトパソコン選び方・購入ガイドが高速で、安定的に表示されること
- 開発の行いやすさ、SSHの接続が安定的か、nodeプログラムの重い処理を安定的にこなす事ができるか
- 初期設定の行いやすさ、CentOSを入れた時に時刻が合っていないなど、追加設定が面倒でないか
- 料金設定の明確さ、不意のネットワークリクエスト増により追加費用が生じる心配がないか
などである。
VPSレンタルサーバの評判など当てにならないので自分で調べよ
先に述べた通り、VPSは報酬インセンティブがかなり働いているためデータなどはCPUが高速など都合の良いものだけを引っ張ってきており実測値としてどうなのか分からない。
また、個人がレンタルサーバに期待することはそれぞれであるため、最終的には自分に合ったレンタルサーバは自分で探し当てるしかない。
しかし大体の会社は2週間程度の無料期間を設定しているので、その間で十分に調べることができるだろう。エンジニアであるならば猶更そのあたりの検証は行うべきであると個人的には思う。
とはいえサクッとサービスを立ち上げたい、外れを引きたくないなどいろいろあると思うので15年以上レンタルサーバを使い続けてきた筆者がその知見を共有する。
使用をさくらVPS、ConoHa、LightSail、Indigoの4つに絞った理由
大手だからである。レンタルサーバは競合がひしめくレッドオーシャンの領域であるため、格安スマホと同様にサービスの廃業も激しい。
レンタルサーバ側の都合でサービスの移転を余儀なくされるという事があってはならないので、サービス停止のリスクが低いであろう大手のサービスであることが重要なのである。
これは実際に個人開発の勉強用にちょろっと使う程度で、実際にサービスを運営する予定がないのならば大手に拘る必要はないだろう。しかし長年のノウハウが蓄積されていないであるとか、資本力が弱くてサービス改善にお金をかけることができないとかいろいろあるだろうからやはり大手のサービスを使った方が安定感はある。
Webサイト表示速度はVPS間で差異なし
他のサービスは試していないが少なくともさくらVPS、ConoHa、LightSail、Indigoの間で有意な差は得られなかった。すなわちApacheがHTTPリクエストを裁いて静的なHTMLファイルを返す程度は、どんなCPUを使っていても高速にできるため、これがWebサイト表示のボトルネックにはならないという訳である。
また、回線の帯域が太い、細いの問題もあるが、ストリーミングサービスを提供するならともかく、ページ表示にせいぜい数百キロバイトしか返さないサービスにとって帯域は全く問題にならないということである。
ちょうど携帯電話の速度制限で1MBに制限されても動画を見ない限りあまり遅くならないのと同じである。遅くとも100Mbit/sぐらいの帯域は確保されているので十分すぎると言える。
月間15万PVといってもピークで10秒に1回程度ページにアクセスされている程度なので200万PV程度あってはじめてCPUの性能が少し重要になってくるのではないかと思われる。
この速度比較結果はLightSail, さくらVPS, ConoHa VPS, Indigoどれが高速か?にまとめてある。
RubyやPHPなどを使っている場合も大きな問題とはならないだろう。ちなみにこの記事ではlightSailをコストの観点で最終的には進めているが、後に開発面での問題が発生したためさくらVPSにサイトを移管している。詳細は後に述べる。
それではここからはそれぞれのサービスの使用体験をまとめていく。
AWS LightSailは最安プランで静的ページのホストをする用
AmazonのAWSなので世界的にも最も使われており、VPSとして最高の使い勝手になるはず、それに加えてコストも非常に安いので間違えなくNo1のサービスだろうと思っていた時期が私にもありました。
がフタを空けてみるとかなり使いにくい部分が多く多かったので列挙すると
- スクレイピングでのヘッドレスブラウザの立ち上げや、Webサイト構築時のビルドパイプラインがまともに動かない。CPUが貧弱。
- SELinuxが有効、DefaultのTime ZoneがUTCとなっているなど開発前にいろいろ設定が必要。
- AWS内で見えるIPアドレスと外部IPアドレスが異なり面倒。
などがあった。特に最初の問題は論外である。
LightSailはCPUリソースを公平に使うため、あまり使用しない時はバーストキャパシティというCPU余力をためておき、重い処理が必要な時には貯めておいたキャパシティを開放するということを行っている。
ところがスクレイピングの時は、重い処理にもかかわらずバーストキャパシティを全わずに動かない、あるいはBuild時はバーストキャパシティをフルに使っているにも関わらず完了せずに落ちるなど上手く制御ができていない。
スクレイピングの話はAWS Lightsailでスクレイピング作業は不向きという記事でまとめているので参考にして欲しい。
また、料金も記述されてはいないがインスタンスのバックアップで不意に課金されているなど説明が不十分なところがある。
よって開発目的では使いにくいが、最低3.5ドルからという料金は安く、サーバ自体の動作は安定し、サービス終了の可能性も低いためWordPressや静的ページのホスト用には適度ではないかと思う。
開発も簡単なプログラミングの勉強などには十分使えるレベルではある。
IndigoはCPUパワーを使いたい場合には便利だがSSH接続が不安定
CPUコア当たりの料金が4つのサービスの内で断トツに安い会社がNTT系のIndigoである。
実際に4コアプランを契約して使ってみたところ、Webサイトのビルドで2コアで15秒かかるところが4コアでは10秒程度で終わり、馬力を感じることができる。
ただ、致命的な問題としてSSH接続が不安定という問題を抱えている。どのようにかというと、10文字コンソール上で文字を打つと1回は引っかかりがあるというレベルで不安定である。
これでは集中して作業ができず、設定作業でフラストレーションがたまる。開発をSSH上で行うのは論外である。
よって使えるシーンとしてはサーバー設定等の作業を軽く済ませ、後はCPUパワーが必要な作業を定期的に行う必要がある場合である。
使用シーンとしては定期的なスクレイピング処理を回す、AIの機械学習用途など計算を多く行う必要がある処理に使うなどだろうか。
SSHさえ改善されれば最安であるため今後に期待したい。無料期間はないが、従量課金制をとっているので軽く使って使用感を確かめてみるのは全然ありだと思われる。
ConoHaは動作が安定しているが、管理画面だけは惜しい
ネット上でみんながおすすめするConoHa VPSだが、その実情はただアフィリエイト料率が高いというだけである。基本的にレンタルサーバの使い勝手なんて使ってみなければ分からないので、あとは目に見える範囲のスペックさえ提示してメリットを訴えれば契約が入る簡単なお仕事である。
という事でかなり疑いつつ体験してみたが、SSHの接続は安定的であるし、重いプログラムの実行も難なくこなす事ができ、帯域も安定しており特に不満なところは無かった。一部上場のGMOが運営しているので流石といったところである。
一点だけ不満は、課金等やインスタンス生成画面のホームUIが極めて重い点である。一つタブを切り替えるたびにローディングのインジケーターが数秒発生してそのたびにイライラさせられるのである。
この点を除けば全く問題が無いと言えるだろう。
費用の面では次に紹介するさくらVPSと大体同じぐらいであるが、GMOの株を購入すれば、半年に1回5000円のキャッシュバックが受けられるようになるため、株主優待と組み合わせれば実質的にほぼ無料でサーバー運営ができる。
この手を使うならば多少UIが遅かろうとConoHaに決まりである。
さくらVPSは全てにおいて優秀
さくらVPSは歴史が古く、コストパフォーマンスの高さと安定性からMixiやGreeといった企業がこぞって採用していた。
適度な価格設定で通信、SSH、重いプログラムも十分にこなせ、管理画面もサクサクで使いやすい。またホーム画面でCPU使用率を見ることもでき、障害にも対応しやすい。以前記述した記事があるので紹介しておく。=>さくらVPSでCPU使用率が異常になったので対処する
欠点という欠点が無く、チュートリアルなども充実しているため、初心者・上級者問わず一番おすすめできるVPSレンタルサーバーである。
ちなみにレンタルサーバーの物理的な場所を東京・大阪・北海道の石狩の3か所から選べるが、一番安いのが石狩なので石狩を当サイトInflTechと先述の15万PVサイト、パソコン選び方・購入では一台ずつ契約している。
基本的に回線のデータ速度は光の速度に従うので30万Km/sである。東京と石狩の距離は大体1000kmなので、往復すると2000kmを光が到達するまで時間がかかる。光の屈折等、回線の経路も考慮して3000km往復でかかるとしよう。
すると0.01sサーバからの応答は毎リクエスト遅くなる。このリクエスト遅延はWebサイト運営上クリティカルとは思わないので石狩を選択した訳である。地盤が安定しているので東京・大阪と比べてレジリエンスは高く、安定していてかつ安いのでいう事なしである。